【基礎から学ぼう】バイタルサイン測定の種類・正常値

聴診器とハート 看護

みなさんこんにちは。パパぱんです。

医療・福祉業界で働く人にとっては切っても切り離せない基本中の基本であるバイタルサイン測定。

バイタルサイン測定は基本ですが、非常に重要な体のサインが表れています。

今回は、基本であるバイタルサイン測定の種類と正常値について書いていこうと思います。

バイタルサインとは?

バイタルサインとは日本語で「生命の徴候(兆候)」とされています。このバイタルサインは、私たち人間が生きているという指標となり、身体の循環動態・呼吸動態を把握する上で非常に重要です。

普段、私たちは体調が悪い場合など、体温計を使用し発熱していないか確認しますが、この体温も重要なバイタルサインのひとつなのです。

バイタルサインを把握することで客観的なデータに基づいたアセスメントをすることができ、異常の早期発見に繋げることができます。急変する数時間前にバイタルサインの異常がみられるとされています。

そのためには、正常値をしっかりと理解し正常・異常の区別をすることが重要です。

バイタルサインの基本には5つの項目があります。

・体温

・脈拍

・血圧

・呼吸

・意識レベル

成人の場合それぞれの正常値は

項目 正常値の目安
体温(℃) 36.0-37.0
脈拍(回/分)60-100
血圧(mmHg) 120/80以下
(収縮期血圧/拡張期血圧)
呼吸(回/分)12-20

意識レベルに関しては後述します。

それぞれの項目ごとに詳しく見ていきましょう。

体温

私たち人間は体温を常に一定に保つようにコントロールしている恒温動物です。体温を保つことにより、身体の機能が正常に働き病気にかかりにくくなります。そのため、体温を一定に保つことは生命が活動していくのにとても大切なのです。

体温には表面体温、口腔温・腋窩温、深部体温の3種類が挙げられます。

表面体温は皮膚温を測定します。最近では赤外線を使った非接触型の体温計が増えてきました。簡単に体温を測定することが可能ですが、測定する環境によって測定値が影響を受けやすいといわれており正確さには欠けるかもしれません。

口腔温・腋窩温は口腔内・腋窩に体温計を挿入し体温を測定します。口腔温・腋窩温は外気に触れずらいため測定値の変動は少ないです。

口腔温測定は専用の体温計を舌下(舌の下)中央にくるように挿入します。熱の放散を防ぎ、外気温の影響を避けるために口を閉じて測定します。

腋窩温は体温計を45度の角度で腋窩中心に挿入し測定します。外気温の影響を避けるためにしっかりと腋を閉めて測定します。この時、汗をかいていたり、腋窩に熱がこもっていると測定値に影響するので注意が必要です。

深部体温は人間の体温を一番正確に測定することができます。主に手術の時など直腸温を測定します。

脈拍

脈拍の正常値は60-100回/分です。60回/分以下を徐脈、100回/分以上を頻脈といいます。

よく脈拍数=心拍数と勘違いされがちですが、脈拍数は身体の動脈で触知することができる1分間の拍動数をいいます。一方、心拍数は心臓が1分間に収縮する回数をいいます。

そのため期外収縮などの不整脈が生じた場合、きちんと血液を身体に送ることができないため脈拍数<心拍数となります。

脈拍測定は橈骨動脈(親指側の動脈)に人差し指・中指・薬指の3本を軽く乗せて1分間拍動を測定します。脈拍測定は回数を数えるのはもちろんですが、リズムや脈圧も一緒に検脈し異常がないか判断します。

本来はきちんと1分間測定するのが望ましいですが、時間をかけずに回数を測定するには、15秒測定した回数×4、もしくは30秒測定した回数×2をすると1分間の測定値を算出することができます。

血圧

血圧の正常値は120/80(収縮期血圧/拡張期血圧)mmHg以下です。140/90mmHg以上を高血圧とされています。

高血圧になると血管抵抗が増すため動脈硬化を引き起こしてします。その結果、心筋梗塞や脳卒中など様々な疾患の原因のひとつとなってしまうため血圧はとても重要なバイタルサインのひとつです。

年齢を重ねる毎に高血圧になるリスクも上昇してきます。高血圧は生活習慣病のひとつに数えられ、原因としては塩分の摂取過剰、肥満、喫煙、ストレスなどがあります。

血圧測定に使用される器具は、以前は水銀血圧計が使用され、測定技術も必要でしたが、現在は自動血圧計の普及も進み、血圧測定は簡単になってきました。スイッチひとつで測定してくれるため使う人を選びません。

聴診器を使用した血圧測定はより正確に測定することができます。

触診法は事前に血圧値を聞いておきマンシェットを上腕に巻き、橈骨動脈で触知しながら聞いた血圧値より+20-30mmHg加圧していきます。加圧後、1秒間に10mmHg程度減圧し拍動が感じる値が収縮期血圧となります。

聴診法はマンシェットを上腕に巻き、上腕動脈が触れる部位に聴診器を当てます。触診法での値に+

20mmHg程加圧し、触診法と同様に減圧していきます。最初に拍動音(コロトコフ音)が聴取できる値を収縮期血圧、音の消失した値が拡張期血圧となります。

呼吸

呼吸回数の正常値は12-20回/分です。呼吸回数は意識されてしまうと数値が変動してしまいます。

対象に意識されないように脈拍測定などの時に測定しましょう。

呼吸回数のみならず、呼吸のパターンやリズム、深さ、呼吸音を観察し異常がないか判断していきます。

呼吸状態は酸素飽和度(SpO2)や皮膚・口唇など皮膚の色でも異常の判断ができます。特に口唇は青紫色になるチアノーゼが認知しやすく、チアノーゼが出現すると酸素飽和度が低下しているサインなので症状の確認や酸素投与など処置を考慮しなければならない状態です。

意識レベル

意識レベル評価の代表例は、JCS(ジャパン・コーマ・スケール)、GCS(グラスゴー・コーマ・スケール)といわれるものが挙げられます。

今回はJCS(ジャパン・コーマ・スケール)について紹介します。

JCSは日本で主に使用されている意識障害の分類です。分類の仕方から3-3-9度方式とも呼ばれ、数値が大きくなるほど意識障害が重度であると示しています。

以下の評価基準があります。

刺激しなくても覚醒している状態
0意識清明
1だいたい清明であるが今一つはっきりしない
2見当識障害がある(日付や時間、場所が言えない)
3自分の名前、生年月日が言えない
刺激をすると覚醒するが刺激をやめると眠ってしまう状態
10普通の呼びかけで容易に開眼する
20大きな声または身体を揺さぶると開眼する
30痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すことにより辛うじて開眼する
刺激を与えても開眼しない状態
100痛み刺激に対し払いのける動作がみられる
200痛み刺激に対し少し手足を動かしたり、顔をしかめたりする
300痛み刺激に反応しない

常時開眼して会話できるのであれば1桁、声をかけるか刺激で開眼すれば2桁、何をしても開眼しなければ3桁になります。

まとめ

バイタルサインの5項目とJCS(ジャパン・コーマ・スケール)について紹介しました。

バイタルサインは基本中の基本ですが、これを疎かにすると状態の把握や異常の早期発見の遅れに繋がり急変のリスクが高まります。

しっかりバイタルサインの正常値を把握し異常の早期発見に繋げられるようにしていきましょう。

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